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コラム

王道に見えて、挑戦的な意欲作『ごちそうさん』が朝ドラに残したもの 文/田幸和歌子

社会現象にもなった『あまちゃん』からのバトンを受け、2013年下半期に放送された連続テレビ小説『ごちそうさん』。プレッシャーを見事にはねのけ、視聴率は右肩上がりを記録。一見「正統派」のようで、視聴者の予想を裏切る数々の挑戦をした意欲作でもあった。見返すたび、回を進めるごとにじわじわ気になる『ごちそうさん』の魅力を一挙ご紹介!

逆プロポーズに伝説的イケズ……向田邦子賞を受賞した挑戦的作品

© NHK

杏&東出昌大の夫婦が出会ったきっかけが、この『ごちそうさん』だったことは、もはや誰もが知ること。しかし、今改めて振り返ると、作品内での二人の出会いは、少女漫画的な最悪のシチュエーションだった。それは、め以子がカフェで生クリームを悠太郎の肩にとばしてしまい、嫌味を言われるというもの。しかも、徐々に恋に変わっていく王道パターンからの「水落ち&逆プロポーズ」は、衝撃的。「朝も昼も夜も、私はあなたにおいしいものを食べさせます。一生食べさせます! だから……私を一生食べさせてください!」という情熱的な言葉に対する返事は、なんと「お断りします」!?
どこまでも先の読めない前代未聞の展開を巧妙に仕掛けたのは、脚本家の森下佳子。一見スローな物語ながら、落語のようなイキイキしたセリフの掛け合いも高く評価され、本作は『ちゅらさん』以来となる“朝ドラ”での向田邦子賞を受賞した。さらに、キムラ緑子演じる小姑のイケズも大反響を呼んだ。

後にブレイクする”青田買い“の脇役陣

© NHK

夫役の東出昌大も、当時はまだお茶の間知名度が高いとはいえなかった時代。実は前作『あまちゃん』にも北三陸鉄道の大吉の若い頃としてチラリと出演していたが、本作で一気に開花した。
また、め以子の義理の妹・希子を演じていたのは、高畑充希。内気で引っ込み思案な少女が、歌によって自信を持ち、アナウンサーという職業婦人に変身していく様には、カタルシスがある。さらに高畑充希は、この後、『とと姉ちゃん』のヒロインに抜擢されている。
意外と知られていないのは、若手演技派としてドラマに映画に引っ張りだこの菅田将暉が、昭和の匂い溢れる坊主頭でヒロインの長男・泰介を演じていたこと。次男・活男を演じた関西ジャニーズJr.の西畑大吾は、後に『あさが来た』にも出演している。今見ると、かなり“青田買い”のドラマなのだ。
ちなみに、『勇者ヨシヒコ』シリーズなどの福田雄一作品でおなじみのムロツヨシは、本作ではかなり意外な役柄で出演しているので、要チェック!

“朝ドラ”史上最強!垂涎の「食」ドラマ

© NHK

「これは、ものを喰らう物語でございます」というナレーションから始まるように、『ごちそうさん』にとって、料理は陰の主役。
料理監修を手掛けるのは、『深夜食堂』などでおなじみのフードスタイリスト・飯島奈美氏だ。「赤なすごはん(チキンライス)+巨大オムレツ」で作るふわっふわの「オムレットライス」や、半熟卵の黄身がトロリ溶け出る「スコッチエッグ」、コーヒーと梅シロップをかけたかき氷にメレンゲをのせて火をつける「焼き氷」など、垂涎の皿の数々は、提供するタイミングまで計算し尽くされたもの。さらに、ごちそうばかりでなく、食材を無駄なく使いきる大阪の精神「始末の料理」も多数登場する。
もう一つ注目したいのは、「なっとうくう(納得=納豆食う)」「ごちそうさんまでの日々(さんま)」「私の大豆な男の子(大事な)」など、週ごとのサブタイトルにダジャレ的な料理名を入れている遊び。サブタイトルから内容を予想しながら観てみるのも、一つの楽しみ方かも?

田幸和歌子Wakako Takou

1973年生まれ。出版社、広告制作会社を経て、フリーランスのライターに。現在、週刊誌や夕刊紙、ウェブなどで執筆中。6歳時に“朝ドラ”『連続テレビ小説 マー姉ちゃん』にハマって以降、全ての“朝ドラ”を見続けてきた“朝ドラ”好き。「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)著。

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