BLOOD+

沖縄のコザに暮らす女子高生・音無小夜は1年以上前の記憶を失くしており、大衆酒場を経営する宮城ジョージ、カイとリクの兄弟に囲まれて平穏な日々を送っていた。そんな小夜の日常に通り魔事件の影が忍び寄る。

高校の生物教室で異形の生物・翼手に襲われた小夜は、ハジから手渡された刀で応戦する。翌朝、この事件は薬物中毒の米兵による殺人事件として処理され、翼手の死体は米軍の特殊部隊の手で極秘に運び出されていた。

全ての痕跡が消え、事件がなかったかのように新しい机が置かれた生物教室。しかし小夜は時間が経つにつれ、あの事件が静かに自分を包み込むことを感じていた。学校帰り、ジョージは小夜を宮城家の墓に連れていく。

フォレストの攻撃で重傷を負ったジョージは救急病院に搬送された。怒りに満ちたカイはジョージが隠し持っていたコルトM1911を持ち出し、ひとりフォレストの行方を追い始め、カイを追って小夜たちが夜の街を駆ける。

米軍の手によって連れ去られたジョージを追うデヴィッドたちは、ヤンバルに秘密施設があることを突き止めた。そこにジョージがいるかもしれないと耳にしたカイは、自分も連れていくよう頼むのだが…。

小夜たちはヤンバルの研究所に潜入。デヴィッドは、地下で米軍が人工的に翼手を作り出そうと実験していた事実を掴み、その中に「デルタ67」と呼ばれる謎のキーワードを見つけ出す。その時、翼手が小夜たちを襲った。

沖縄を離れる船の中でジョージの死を知ったリクは部屋に閉じこもってしまう。カイはそんなリクを慰めようとするが、彼は返事すらしない。その頃、琉球毎日新聞の記者・岡村は調査中、ある手掛かりを発見する。

小夜はベトナムの全寮制女学校「リセ・ドゥ・サンクフレシュ」に潜入。ハジも庭師として学園に潜り込んでいた。小夜はそこで、学園一美しい少女に恋をし、青いバラを贈るというファントムの伝説を知る

ハノイの街でカイとリクは、左足を失った美少女・ムイに出会う。その頃、ファントム事件の写真を分析するデヴィッドたちは、被害者が全て東洋的な容貌であることから、小夜が計画的に誘い出されたのではと気づく。

朝、小夜は教室で一輪の青いバラを発見。生徒たちはリセで噂されるファントム伝説を持ち出してざわめき立つ。青いバラが咲いていると噂される聖堂横のバラ園にハジと潜入した小夜は、地下へと続く階段を発見する。

学園では年に1度の舞踏会が開かれていた。会場である食堂に正装の生徒とその親や招待客が集まり、小夜もミンに借りたドレスで会場に現れる。そして小夜は、ダンスホールでソロモンと名乗る青年と出会う。

リセから運び去られた、ディーヴァを載せたコンテナを追う小夜たち。作戦には赤い盾実戦メンバーのクララたち4人が加わり、メコン川をさかのぼってサンクフレシュ・ファルマシーの実験農場を目指す。

サンクフレシュ・ファルマシーの実験施設で、小夜は子供の翼手たちに囲まれる。聞こえてくる謎のハミング、翼手の咆哮、血の臭いが小夜を暴走状態に陥らせ、小夜は敵味方の区別なく目に入るもの全てに刀を振るう。

沖縄に一時帰ってきた小夜たちは、1日だけの休日を利用してやりたいことをやろうとする。小夜、カイ、リクの3人はジョージの遺品を墓に埋葬。小夜はその後、八重島公園で親友の香里と再会する。

カイに会えずじまいだった真央は、自分だけ仲間外れにされたことにいら立ちを隠せない。一方、岡村はベトナムから帰国した今もリセのワイン蔵で見た光景を忘れることができず、鍵を握る少女・小夜の情報を探す。

ロシアの極東部に位置するウラジオストックにやってきた小夜たち一行は、ロシアの赤い盾のエージェント、エリザベータと共にシベリア鉄道に乗り込む。そこで待ち受けていたのは翼手の襲撃だった。

リクを救おうとシベリア鉄道から飛び降りた小夜だが、吹雪の中で気を失ってしまう。小夜が目を覚ますと、そこにはハジがいた。ここは夢の中なのかと思いながら小夜は、ハジと2人でロシアに現れたという翼手を追う。

列車から落ちた小夜たちの安否をカイは気遣うが、デヴィッドはベトナム戦争当時、D67の研究に携わっていたテッド・A・アダムス博士の行方を追うことを強行する。ところが、テッドはすでにいなくなっていた。

合流地点のホテルに来た小夜たち。外出中のデヴィッドらを待つ間、リクが熱を出して寝込んでしまう。リーザは不意に、なぜ翼手を斬るのか、ベトナムやロシアの雪原の中で見た夢の意味は何か、と小夜に問いかける。

デヴィッドたちは赤い盾本部に到着。そこでカイは謎の資料「ジョエルの日記」の内容に衝撃を受ける。その頃フランスではアンシェルらシュヴァリエの兄弟たちが、彼らの計画の妨げとなる小夜の処遇を検討していた

フランスに入った真央と岡村は、ベトナムのリセから持ち出したワイン「シャトーデュエル1967」の謎を知るためワイナリーへ向かう途中、ある人物に遭遇。小夜を狙う謎の一団・シフたちもフランスに到着していた。

小夜の過去が眠る「動物園」に来た2人。荒れ果てた屋敷跡で、小夜の脳裏にハジとの出会い、「動物園」の創設者ジョエルの誕生日にハジの身に起きた出来事、そして燃え上がる屋敷の光景など過去の記憶が蘇る。

「動物園」で小夜とハジはソロモンと再び対面し、ハジはすぐさま彼に激しい攻撃を仕掛ける。ハジをいなしながらソロモンは、自らがシュヴァリエであること、シュヴァリエたちが小夜を殺そうとしていることを告げる。

白い肌と青い瞳、長い黒髪が美しいディーヴァが小夜とついに対峙。小夜の脳裏に、ジョエルの誕生日会に起こった惨劇の記憶が蘇る。そして、小夜の絶叫を聞いたカイたちは塔の最上階に急行するが…。

ディーヴァに襲われたリクを連れ、小夜たちは赤い盾の本部に入る。小夜の血を取り入れたことで一命を取り留めたものの意識が戻らないリク。小夜は、血を分け与えた行為が本当に正しかったのか答えを出せずにいた。

フランスのマルセイユ新港に隣岸する赤い盾の本部船。昏睡状態だったリクが目を覚ましたため一同は喜ぶが、以前とは違う自分の体にリクは不安を覚えていた。カイはそんな弟を前にしても何もできない。

リクまでもがシュヴァリエとなってしまった今、カイは自分に何ができるのかと思い悩み、ひとりパリの街を歩く。そんななか、カイはエッフェル塔の展望台で、仲間から離れてパリを彷徨うイレーヌを見かける。

「シフは敵ではない」と話すカイに小夜は距離感を覚え、翼手全てを倒すことが自分の役目であり生きていく目的だと自覚する。一方ジュリアは、リクのDNAに地球上の生物ではありえない第5の塩基を発見する。

ソーンが進行して倒れたイレーヌを救うため血を与えてくれとカイに懇願され、小夜は困惑するが承諾。一方、赤い盾本部に残って研究を続けるジュリアは、師であるコリンズがある人物と接触していることに気づく。

「ジョエルの日記」に書かれている内容を確認すべく、小夜は赤い盾本部のジョエルの部屋にやってきた。そこで小夜は自分とディーヴァに関する出自、1972年ベトナムの惨劇など衝撃的な事実を知るのだった。

ある晴れた日。小夜はハジ、リク、そしてカイを誘ってパリの街へ散歩に出る。みんなが久しぶりに穏やかな時間を過ごすなか、今もわだかまりを解くことができないカイは小夜に素っ気ない態度を取ってしまう。

ディーヴァとカールの攻撃で赤い盾本部は大混乱に陥る。破壊された船内に黒服たちの死体が転がる。破壊攻撃を繰り返すカールに小夜も悪戦苦闘。カイはリクを連れ、デヴィッドたちと合流すべく船内を移動するが…。

ディーヴァによる赤い盾本部襲撃の後、カイたちはロンドン郊外にあるデヴィッドのかつての戦友が暮らす家に身を寄せていた。あれから1年が過ぎ、時の流れはみんなにさまざまな変化をもたらしていた。

カイはようやく小夜との再会を果たすのだが、そこで小夜はふらついて倒れてしまった。小夜が心配でならないカイは介抱しながら彼女をグレイの家へと運ぶ。そんな時、翼手が姿を現して襲いかかってきた。

1年の歳月はシフたちにも確実に影を落としていた。グドリフとダーズの前にソーンが現れ、少なくなった仲間同士、日の光を避けて廃教会で肩を寄せあう。そんななか、彼らにさらなる絶望が襲いかかろうとしていた。

デヴィッドは、ゴールドスミスとサンクフレシュの共同出資でロンドン郊外に建てられた研究施設を突き止めて潜入を図る。その頃小夜とハジは、ロンドン市内のロイヤルオペラハウスでディーヴァが歌うことを知った。

グレイの子供たちの1人であるハヴィアの誕生パーティが開催。招待されて訪れた小夜だが、「やはり自分はこの場にいるべきではない」と落ち込む。カイをはじめとする一同は心を閉ざす小夜を気遣うが…。

無人島でディーヴァのプロモーション制作が企画されているという情報をもとに、デヴィッドたちはクリスチーナ島へと赴く。だが、そこで待ち受けていたのはジェイムズと量産型シフ＝コープスコーズだった。

クリスチーナ島での戦いが終わり、いったんロンドン郊外のグレイ宅に戻った小夜とカイは、ハヴィアやナハビにせがまれ共に釣りに出かけることになった。のどかな風景の中、小夜に憩いのひと時が訪れる。

ホテルで眠る小夜は上体を起こそうとするがふらついてハジの腕にしがみつき、そんな小夜に彼は不安を覚える。一方ネイサンの邸宅では、庭で遊ぶディーヴァを見つめるアンシェルらの前にソロモンが現れた。

ニューヨークの岡村と真央のアパートが何者かによって爆破され、2人はデヴィッドたちのアパートに身を寄せる。眠りの時間が増えてきた小夜はこの日も別室で休んでおり、真央はそんな彼女を気遣う。

ディーヴァのショーに潜入したカイは、そこでディーヴァ側のシュヴァリエになるよう誘惑される。拒否するカイにディーヴァは牙をむき、そこへ小夜とハジが現れるが、アンシェルとネイサンの攻撃を受ける。

ソロモンに連れ去られた小夜は、目覚めるとひとり見知らぬ部屋のベッドにいた。その時、ソロモンがドアを開けて部屋に入ってきた。警戒して身を固くする小夜に、彼は「僕の花嫁になって」と告げるが…。

ディーヴァが双子を宿していると知った小夜は、双子が産まれて倒すべき敵が増える前に彼女を斬ろうと決意。一方、生き残ったシフのモーゼスとルルゥは、カルマンの首にある死の印「ソーン」を見つけて驚がくする。

「ソーン」が現れたカルマンを抱き締め、「死なせはしない」と誓うモーゼス。生き残るためにディーヴァの血が必要だとジェイムズから聞かされたモーゼスは、その血を得る代償として要求されたものを奪いにいく。

ソロモンは、ネイサンに付き添われてディーヴァの前に現れ、右手をブレードに変えて斬りかかる。一方、ディーヴァのD塩基の研究を進めるジュリアは、その歌声によるシンクロニシティの影響に気づいて驚がくする。

ディーヴァに瀕死の重傷を負わされ、とらわれの身となったソロモンの前にジェイムズが現れる。全てのものに絶望をもたらそうとするジェイムズはソロモンに、「小夜を抹殺する」と宣言するのだった。

ついにその時を迎えたディーヴァのニューヨーク公演。その歌声によるシンクロニシティの影響により世界を翼手で満たそうとするアンシェルの計画を阻止すべく、小夜たちは舞台となるオペラハウスに潜入した。

戦場と化したオペラハウスで2人の女王・小夜とディーヴァの刀が激突。舞台袖ではハジとアンシェルが対峙していた。同じ頃、周囲を翼手に囲まれた中継車の中で、デヴィッド、カイたちは身動きが取れずにいた。

繭から生まれたディーヴァの子供を前に、もう誰も傷ついてほしくないと願う小夜はゆっくりと刀の切っ先を上げていく。その頃、米軍の手で翼手を闇に葬り、全ての証拠を消すことを目的とした計画が動きだしていた。