日曜テレビ秘宝館

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謎の円盤UFO HDリマスター版(吹替え版) (全26話)

10/4(日)より 毎週(日)24:00〜放送
[再放送]翌週土曜深夜

【製作総指揮】:ジェリー・アンダーソン
【特撮総監督】:デレク・メディングス
【出演(声)】:エド・ビショップ(広川太一郎)、マイケル・ビリングトン(羽佐間道夫)、ジョージ・シーウェル(小林昭二) ほか
地球は謎の円盤UFOによる深刻な脅威にさらされていた。1980年、人類は地球防衛組織SHADOを結成、行動を開始する。本部をイギリスのとある映画会社の地下深く秘密裏に築き、最高司令官エド・ストレイカーの指揮のもと、人類の英知を集めて作られた秘密兵器の数々を駆使して、日夜謎の円盤UFOに敢然と立ち向かっていく。さぁ、UFO撃退の準備が整った!(1970年初放送)

主役は宇宙人ではなく地球人!?
“宇宙時代”の人間像を「サンダーバード」制作者が描く実写SFドラマ『謎の円盤UFO』

1960年代から70年代には、今見ても古さを感じさせないSF映画やドラマが数多く制作された。これには、人類の科学技術史上最大の出来事の一つといえる、月面着陸が影響していたのではないだろうか。

初の月面着陸は1969年7月20日(日本時間21日)、アメリカのアポロ11号によるものだった。アポロ計画は、1961年にケネディ大統領が「60年代中に人類を月へ到達させる」ことを表明したことで事実上スタートしたが、ここから着陸成功までの間に、人々の意識は大きく変化したように思う。それまでの宇宙は、主には「空想」や「夢」の対象であったのではないか。しかし、実際に月面に降り立つ可能性が高まり、宇宙への思いもよりリアルになり、人間の内面を投影させる対象ともなっていったように思う。だからこそ、エンターテイメント分野にも影響を及ぼし、当時の映画やドラマにも強く反映されているように感じる。

それらのうち60年代に制作されたものとしては、アメリカで66年に放送が始まった「スタートレック」シリーズや、68年公開の映画「2001年宇宙の旅」が代表的な存在だといえるだろう。子ども番組も例外ではなく、日本では66年の「ウルトラQ」に始まる「ウルトラ」シリーズが何より有名だが、世界的には65年放送開始の「サンダーバード」シリーズが大ヒットしている。操り人形で撮影された「サンダーバード」だが、人形劇の枠を越えるスケールだったため「スーパーマリオネーション」というジャンルとして確立し、根強いファンを生んだ。

サンダーバードを生み出したのはイギリスのジェリー・アンダーソンというクリエーターだが、彼が作るものは人形劇だけにはとどまらなかった。その一つが、人間の俳優で制作された「謎の円盤UFO(原題・UFO)」である。このドラマ、イギリスでは70年から放送され、設定は80年の地球なのだが、映像からは60年代のイギリスの空気感や、ユニークなデザインの車やファッションも見ることができて、今でもスタイリッシュに感じてしまうほどだ。

このドラマの舞台となる80年の地球には、謎の円盤UFOが頻繁に飛来している状況で、各国は協力して「地球防衛組織SHADO(シャドー)」を結成している。シャドーは、地球近辺へUFOが侵入してくるのを警戒するためコンピューター衛星「SID(シド)」を配備していて、それがUFO接近をキャッチすると、シャドーの全司令部や基地へ報告される。 その後、まず月面の基地である「ムーンベース」から、ミサイル要撃機「インターセプター」が出撃する。それでも対応できずUFOが地球の大気圏内に入ってしまった場合は、海に潜んでいる潜水艦「スカイダイバー」や、その内部に装備されているジェット機「スカイ1」が対処する。さらにUFOが地表にまで到達してしまったときは、特殊車両「シャドーモービル」が追跡して地球を防衛する。

登場するメカは、サンダーバードとも共通する雰囲気で子どもたちの心をつかんで離さないものだった。しかしこの番組には、大人たちのドラマがたっぷりと盛り込まれていた。シャドーの存在は極秘で、シャドーを率いるストレイカー最高司令官も表向きは映画会社の最高責任者となっているが、事実を妻にも告げられないため離婚になり、息子と離ればなれになるという家族関係も描かれる。さらには、登場する宇宙人も悪者ばかりではなく、月面で遭難した飛行士が同じように月面に取り残された宇宙人と出会い、お互い疑いつつも助け合っていくエピソードまである。

このドラマは、宇宙人の侵略から地球を守るという勧善懲悪なものではなく、宇宙空間で派手な戦闘が繰り広げられて見終わった後には気分爽快になるというものでもない。しかしそこには、どんなに時代が変わって人間が宇宙へ進出したとしても、人間の“心”は変わらないという、制作者の意図が隠されていたのかもしれない。

<文・舘谷 徹(ライター・脚本家)>

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