STORY ー本伝 第4期ー

第87話「嵐の予感」

「あの時は、ミッターマイヤーがいて、ロイエンタールがいて、キルヒアイスがいた・・・」
ラインハルト・フォン・ローエングラム

宇宙暦800年/新帝国暦2年8月、銀河帝国皇帝ラインハルト・フォン・ローエングラムは、宿敵ヤン・ウェンリーの死による喪失感から逃れるように政務に精励していた。ミッターマイヤーとの会見中、ふと彼の胸に去来する5年前の嵐の夜の出来事。それは、ラインハルト、キルヒアイス、ミッターマイヤー、ロイエンタールの長い友諠のきっかけであった。しかし、そうした絆をも揺るがす陰謀が貼り巡らされ、再び銀河に動乱の気配が忍び寄っていた。

第88話「辺境にて」

「年長者から年少者へ。先人から後続者へ。思いの松明はリレーされていくのだろうか」
ユリアン・ミンツ

フレデリカを政府首席、ユリアンを軍司令官として設立されたイゼルローン共和政府。全人類の内、ほんの一握りが立てこもる場所となってしまったイゼルローン要塞。そこは、まさに宇宙の辺境であったが、民主共和制の灯をささやかに守り続けていた。ユリアンは長期的視野に立ち、帝国にも共和制の思想を浸透させていく方法を考え始めていた。苦難の道ではあったがヤンの理想を受け継いだ者として歩き出そうとしていた。

第89話「夏の終わりのバラ」

「今夜は一人でいることに耐えられそうにないのだ。」
ラインハルト・フォン・ローエングラム

新設された帝国軍戦没者墓地の完工式に出席したラインハルトは、暗殺者の襲撃を受ける。「ヴェスターラントを忘れたのか!」暗殺者が発した一言がラインハルトに深い衝撃を与えた。暗殺者は、あのヴェスターラントの犠牲者の遺族であったのだ。打ちのめされたラインハルトは、ヒルダに一夜の慰めを求め・・・。

第90話「鳴動」

「平和な世の武人など、鎖に繋がれた番犬にすぎん。怠惰と無為の中でゆっくり腐敗していくだけではないか」
オスカー・フォン・ロイエンタール

惑星ハイネセンでは、グエン・キム・ホア広場で旧同盟政府と同盟軍の関係者による戦没者合同慰霊祭が行われていた。しかし、何者かが参加者を扇動し、暴動が勃発。民間人、帝国軍人双方に多くの犠牲者を出す大惨事となってしまった。これを皮切りに新領土各地で反帝国の暴動が続発する。それらを影で操っているのは誰か?そしてその目的は?

第91話「発芽」

「皇帝が自分の領土を旅するにあたって、何故大艦隊を従えねばならんのか」
ラインハルト・フォン・ローエングラム

ヒルダへの求婚に回答を得られなかったラインハルトは、乗馬や不似合いな芸術鑑賞をすることで気を紛らわせていた。その頃、帝国内に「ロイエンタールが叛乱を起こす」という噂が再び流布する。ロイエンタールはラインハルトの信頼を確かめるため、敢えて新領土への行幸を求める招請状を出す。彼を信じるラインハルトは、周囲の反対を押し切って行幸を決断する。

第92話「ウルヴァシー事件」

「撃つがよい。ラインハルト・フォン・ローエングラムはただ一人で、それを殺す者も一人しか歴史には残らないのだからな。その一人に誰がなる!」
ラインハルト・フォン・ローエングラム

ハイネセンへの行幸の途上、ラインハルト一行は大親征慰霊碑参拝のため惑星ウルヴァシーに立ち寄るが、何者かに襲撃される。脱出する車の中、ミュラーはロイエンタールの謀叛を匂わせる。やはり、ロイエンタールの指示によるものなのか・・・。疑惑に心揺れるラインハルト。襲撃は執拗に続き、遂に彼らは取り囲まれてしまう。ラインハルトらを逃がすため、ルッツただ1人がその場に留まるが・・・。

第93話「矜持にかけて」

「俺は自分の矜持のため、戦わざるを得ない」
オスカー・フォン・ロイエンタール

惑星ウルヴァシーでのラインハルト襲撃事件、そしてルッツの死の報はロイエンタールを追い詰めた。ラインハルトとの間に修復し得ぬ亀裂が入ったことを彼は自覚した。しかし、彼の矜持は叛逆者に仕立て上げられるくらいなら、自ら叛旗を翻すことを選ぶのだった。一方、逃避行中のラインハルトもルッツの死を知り、ついに決断を下すのだった・・・。

第94話「叛逆は英雄の特権」

「勅命、謹んでお受けいたします」
ウォルフガング・ミッターマイヤー

自軍に保護されたラインハルトは、ロイエンタール討伐の命をミッターマイヤーに下した。無二の親友を討つという苦渋の決断を迫られたミッターマイヤーは、必死に友の助命を嘆願するが、もはや無駄であった。陰謀渦巻く一連の事件は、ついに帝国の双璧同志を戦わせるに至らしめたのだった。

第95話「双璧相撃つ!」

「あえて俺は卿と戦う。何故かと問うか。戦って卿を倒さぬ限り、カイザーは俺と戦って下さらぬだろうからだ」
オスカー・フォン・ロイエンタール

宇宙暦800年/新帝国暦2年11月、宣戦布告はなかったが、ロイエンタールとミッターマイヤーの戦いは、もはや誰にも止める事の出来ないものであった。ミッターマイヤーはロイエンタールに対し最後の説得を試みるが、受け入れられることはなかった。そんな中、ロイエンタールの使者としてムライがイゼルローン要塞を訪れ・・・

第96話「剣に生き…」

「突撃だ!ミッターマイヤーに朝食をとる時間をつくってやろう」
フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト

ロイエンタールとミッターマイヤー。帝国軍の双璧と謳われた二人の名将同士の戦いはランテマリオ星域において、ついにその火蓋が切って落された。ミッターマイヤーは、直接指揮下の機動戦力を最大限に活用して犠牲の多くなる持久戦を避け、短期決戦に持ち込もうとしていた。しかし、数の上でロイエンタール軍520万に対し、ミッターマイヤー軍259万と、不利な立場にあった。そんな中、ビッテンフェルトとワーレンの参戦により戦局は大きく傾いていく。

第97話「剣に斃れ」

「自分の血の匂いという奴は、5分も嗅いでいると飽きるものらしい」
オスカー・フォン・ロイエンタール

互いに知略を尽くした帝国軍の双璧の戦いは、意外な形でその幕切れを迎えようとしていた。味方であるグリルパルツァー艦隊がロイエンタール艦隊を砲撃したのだ。これにより捲土重来を期して惑星ハイネセンに撤退することを余儀なくされたロイエンタールだったが、彼自身それがもはや叶わぬことを誰よりも知っていた。

第98話「終わりなき鎮魂曲レクイエム

「遅いじゃないか、ミッターマイヤー・・・」
オスカー・フォン・ロイエンタール

治療を受けることを拒んだロイエンタールの命の炎は、今まさに燃えつきようとしていた。ハイネセンに戻ったロイエンタールは政務と事務の全権を民事長官エルスハイマーに託すと、後の災いとなるであろうトリューニヒトを始末し、エルフリーデには息子をミッターマイヤーに預けるよう伝える。死を目前にした彼は、机にウイスキーとグラスを2つ用意して、グラスの向こうに座るべき親友を待つのだった・・・。

第99話「未来への助走」

「これは命令だ。死ぬなよ」
ラインハルト・フォン・ローエングラム

宇宙暦800年/新帝国暦2年12月30日、ロイエンタール元帥叛乱を治めたミッターマイヤーは、フェザーンに帰還した。終戦を報告するミッターマイヤーにラインハルトは、これから何があろうと死ぬなと命じるのだった・・・。ミッターマイヤーは、妻エヴァンゼリンと共にロイエンタールの忘れ形見をフェリックスと名づけて、育てることにする。一方ラインハルトは、ヒルダから懐妊していることを告げられ、改めて彼女に求婚するのだった。

第100話「皇妃ばんざい!ホーフ・カイザーリン

「これからあなたをヒルダと呼ぶことにする。だからあなたも、余を陛下などと呼ばずラインハルトと呼んでほしい」
ラインハルト・フォン・ローエングラム

新帝国暦3年の新年祝賀会の席上、ラインハルトはヒルダを皇妃とすること及び彼女の懐妊を公表した。歓喜の声に沸きかえる帝国全土。そして、2人の結婚式に立ち会うためにアンネローゼもフェザーンへと到着する。しかし、2人の結婚式が盛大に執り行われる中、惑星ハイネセンにて反国家的暴動が発生したとの報がもたらされる。

第69話「イゼルローン再奪取作戦」

「一戦交えましょう。帝国軍と」
ユリアン・ミンツ

物資の流通が阻害されたことにより生じた新領土での叛乱は、帝国にもイゼルローン共和政府にも大きな決断を迫るものであった。旧自由惑星同盟市民の帝国への反感にルビンスキーの策謀が加わり、事態はより深刻なものとなっていた。反帝国勢力からの救援要請を受けたイゼルローンは、その声にどう応えるのか。ユリアンの判断が問われる。

第102話「敢えて武器を手に」

「カイザーの向こう脛に蹴りを入れてやったぞ!」
ダスティ・アッテンボロー

イゼルローン軍出撃!ヤン亡き後、初めて軍事行動を起こしたイゼルローン軍は帝国軍の意表を突き、帝国本土方面へ侵攻をはかる。軍司令官としての初陣に臨むユリアンは、果たして魔術師ヤンの後継者たり得るのか。全銀河の耳目を集める戦いがついに始まった。

第103話「コズミック・モザイク」

「ビッテンフェルト家には代々の家訓がある。他人を褒めるときは大きな声で。貶すときはより大きな声で、というのだ!」
フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト

イゼルローン軍の勝利は旧同盟領全土に伝えられ、市民たちは熱狂する。ラインハルトの発病によって親征は中止され、代わってオーベルシュタインが、ビッテンフェルトとミュラーを指揮してハイネセンに赴き、治安回復にあたった。オーベルシュタインは旧同盟政府関係者を次々に拘引し、彼らを人質としてイゼルローン要塞の無血開城をはかろうとするが・・・。

第104話「平和へ、流血経由」

「帝国軍のやり方の是非はともかく、この要求を明確に拒絶することはできないと思います。」
フレデリカ・グリーンヒル・ヤン

ビッテンフェルトがオーベルシュタインに拘束され、反感を強める黒色槍騎兵艦隊(シュワルツ・ランツェンレイター)の兵士が、些細なことからオーベルシュタイン直属部隊と争いになり、帝国軍同志の1連隊規模の衝突にまで発展する。そんな中、イゼルローン共和政府の指導者たちに出頭を求めるオーベルシュタインからの通達がもたらされ、フレデリカはハイネセンへ赴くことを決意する。

第105話「昏迷の惑星」

「僕は、この人たちの思い出話などしたくはない。この人たちと思い出話をしたい。そのためにも・・・」
ユリアン・ミンツ

大量の政治犯が収容されたラグプール刑務所で何者かの扇動により暴動が起こり、憲兵隊と黒色槍騎兵艦隊(シュワルツ・ランツェンレイター)が同時にその制圧にあたったために指揮系統が乱れ、多数の死傷者を出す結果となってしまう。一方、イゼルローン回廊でも偶発的な軍事衝突が生じ、いよいよ宇宙は一触即発の危機を迎えようとしていた・・・

第106話「柊館シュテッヒパルム・シュロス炎上」

「ホクス・ポクス・フィ・・・以下省略!」
ウルリッヒ・ケスラー

誰もがイゼルローン共和政府の動向に注目する中、ラインハルトと帝国軍主力の留守を狙って、フェザーンで爆破テロが起き、市街は混乱に覆われた。この事態を陽動と見抜いた憲兵総監ケスラーは皇妃ヒルダとアンネローゼのいる「柊館」に急行するが、「柊館」は、既に炎に包まれていた・・・。

第107話「深紅の星路クリムゾン・スターロード

「おい、ロイエンタール。どうしたらいいと思う。俺に重大な責任を押しつけて、自分はヴァルハラで杯を片手に見物だ、などと・・・虫がいいではないか・・・」
ウォルフガング・ミッターマイヤー

イゼルローン共和政府への亡命を求める民間船「新世紀号」の救援要請がきっかけとなり、帝国軍とイゼルローン革命軍との全面衝突が始まった。帝国との対等な和平交渉のためには一定の軍事的勝利を挙げる必要があると考えていたユリアンは、今がその機と判断して全軍を出動させる。圧倒的大軍で攻め寄せる帝国軍。しかしユリアンは、敵の動きが奇妙に鈍いことに気づく。

第108話「美姫ブリュンヒルトは血を欲す」

「我が墓碑に名は要らじ。ただ美女の涙のみ、我が魂を安らげんと・・・」
ワルター・フォン・シェーンコップ

皇帝昏倒の報を受けて総旗艦ブリュンヒルトに赴いたミッタマイヤーとミュラーは、ラインハルトが不治の病に冒されていることを知る。帝国軍は前線で混乱し、その隙に乗じたイゼルローン軍に総旗艦ブリュンヒルトへの侵入を許す事態となった。ラインハルトとの直接交渉のため、彼が信じる民主共和主義を守るため、ユリアンはラインハルトの姿を探し求め、死闘の中を駆ける。

第109話「黄金獅子旗ゴールデン・ルーヴェに光なし」

「ゴールデンルーヴェが・・・全宇宙を征服した覇王の旗が、あんなにも力なく・・・」
ユリアン・ミンツ

多くの犠牲の上に、ようやく講和成立となった。イゼルローン要塞は喜びに包まれていたが、シェーンコップ、メルカッツらの戦死の報により一転、悲嘆に沈んだ。ラインハルトとユリアンは、今後のことについて話し合いの場を持つ。そんな中、ハイネセンの病院に収容されていたルビンスキーが最後に打った手とは・・・

第110話「夢、見果てたり」

「いつかお前もあの星々の世界に旅立つのだろうか。その時、お前は一人で行くのか、それとも・・・」
ウォルフガング・ミッターマイヤー

自ら終焉の地と定めた惑星フェザーンに、ラインハルトは帰ってきた。和平交渉を続けるユリアンらも同行していた。皇妃ヒルダと姉アンネローゼに見守られて、ラインハルトは最期の時を迎えようとしていた。だが、そこに地球教徒が襲撃してくる。その時ユリアンらは・・・。

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