ロングバケーション

結婚式当日、別の女性と姿を消したとも知らずに、白無垢姿で結婚相手を迎えに来た葉山南（山口智子）と、結婚相手のルームメイト、瀬名秀俊（木村拓哉）との奇妙な同居生活が始まった。
瀬名はピアニストの卵。コンクールに落ち、音楽教室で教えているが、南には演奏家と言う。南も有名女性誌のモデルと称しているが、盛りをすぎたモデルだ。
その南の年下の親しいモデル、桃子（稲森いずみ）が大手のCMに起用されることが分かる。ショックの南は転職を考える。瀬名は女性に臆病で、恩師も瀬名のシャイさを残念がるが、瀬名は後輩の涼子（松たか子）が好きらしい。
ある日、瀬名が帰ってくると、南が涼子から電話があったことを告げる。お互いの電話には出ないことがふたりの約束。責める瀬名に、南は「出て行く」と言って飛び出していった。
残された履歴書で、その日が彼女の誕生日と知った瀬名は、誕生日のメロディーを弾き始めた。

音大の教室で倉田（井上豪）に会った瀬名（木村拓哉）は、南（山口智子）の弟、真二（竹野内豊）のピアノの凄さを語るが、ピアノ教室へと向かう涼子（松たか子）を見かけた倉田は、リサイタルの切符を瀬名に売りつける。
南は、マネジャー（小林すすむ）からバストをかっこよくする器材のモデルの話を持ちかけられるが断る。マネジャーは南のスケジュールが入っていないことを伝え、新人モデルのマネジャーをやらないか、と言う。
瀬名は涼子を誘ってリサイタルに出かけるが、倉田の売った切符は前の日のもの。涼子の希望で遊園地からラーメン屋へ向かったふたりは、パチンコ屋からやってきていた南と後輩の桃子にバッタリ出会う。

新人モデルいづみ（建みさと）を委された南（山口智子）は、基礎訓練をめぐってケンカしてしまう。瀬名（木村拓哉）は次の課題曲に移りたがる貴子にダメを出し、怒らせてしまう。
その夜、弟・真二（竹野内豊）の勤めているクラブへ出かけた南はベロベロに酔って帰る。忘れものを取りにきた貴子は、シャ乱QのCDを持っていたことを瀬名に知られたことを恥ずかしがる。
翌日、南はいづみの担当をはずされたことを告げられる。瀬名は涼子（松たか子）からコンクールの申し込み書を渡されるが、その気がないと断ってしまう。
落ち込む南は、ペディキュア中に交わした瀬名との会話でうれしくなり、涼子を困らせたお詫びに真二のクラブに招待するが、真二と涼子の気が合い、瀬名とるうを傷つけることに。

真二（竹野内豊）が涼子（松たか子）を送ったまま帰ってこないことを知った瀬名（木村拓哉）の顔はひきつる。南（山口智子）は「大丈夫」と安心させようとするが、自分でも信じていない。
翌朝、面接に出かけた南は、その足で新人モデルの撮影現場に出かけ、売り出し中のカメラマン杉崎（豊原功補）の仕事に立ち会う。
そのころ目ざめたるう（りょう）は、瀬名が涼子を愛していることを知る。
南と桃子（稲森いずみ）は、ラーメン屋で出会った涼子から信二との関係を聞こうとするが、要領を得ない。

弟の真二（竹野内豊）に対して南（山口智子）は、ピアノでのデビューを考えていないことや女性関係に注意することを求める。一方の瀬名（木村拓哉）は、涼子（松たか子）とデートを約束して喜ぶ。
南は、出版社の面接に失敗するが、カメラマンの杉崎（豊原功補）に出会う。杉崎は助手時代に南にあこがれていたことを告げてライブコンサートに誘う。映画館でデートした瀬名は、涼子とのフィーリングの違いに気づく。

涼子（松たか子）のマンションから出てきた瀬名（木村拓哉）を南（山口智子）が待っている。涼子と瀬名の別れを察していたのである。涼子にふられた瀬名は、恩師に「ピアノで生きる」と言う。
南の就職先が決まらないことを知ったカメラマンの杉崎（豊原功補）は、自分のアシスタントになることをすすめ、それを聞いた瀬名は励ます。南もまた、瀬名のピアノはいいとほめる。
翌日、真二（竹野内豊）の勤めているクラブテアトロンでは、るう（りょう）が、真二に「結婚してよ」と言い、音楽教室では瀬名が子どもたちをギャラリーに、ショパンの曲を弾いている。
音楽教室を訪れた桃子（稲森いずみ）は、涼子の精神状態がおかしいことを聞き、ラーメン屋に誘い出して「真二をあきらめることはない」と励ます。

南（山口智子）と瀬名（木村拓哉）は、昨夜のキスに戸惑っている。南は杉崎（豊原功補）からあずかったフィルムをバスの中に忘れ、瀬名もまた佐々木教授（森本レオ）のすすめるコンクール出場話に反応がにぶい。
フィルムの紛失を知った杉崎は以前に撮った写真で間に合わせる考えだが、南は探すつもりだ。そのころ、真二（竹野内豊）とるう（りょう）は、涼子（松たか子）をめぐってトラブっていた。
瀬名と顔を合わせることにこだわる南は、桃子（稲森いずみ）に泊めてもらおうとして断られ、マンションへ帰ってきたところへ、すり傷だらけの真二が泊めてくれと現れる。るうにやられたのだ。

早朝に帰宅した南は直後に忘れ物を届けに来た杉崎に瀬名を紹介するが、密かにルームシェアを解消する時期が来たと感じ始める。瀬名が「音和堂クラシックコンクール」(以下、コンクール)への参加を決意した頃、南は杉崎からバツイチで元妻との間に子供がいることを打ち明けられるがその後も距離を縮め、自身も写真の技術を教わり始める。

コンクールを前に新たな指導者から厳しい評価を受けた瀬名は、自身の才能の限界を感じてピアノを弾かなくなり音楽教室のバイトも辞めてしまう。そのことを真二から聞いた南は、瀬名にピアノを辞めないよう説得するが「奇跡でも起こらない限りこれ以上上手く弾けない」と言われてしまう。納得できない南は電子ピアノを買って以前彼が弾いてくれた思い出の曲を一週間猛練習し、つたないながらも彼のために心を込めて弾いて見せる。

コンクール予選会当日を迎え、会場で瀬名のピアノ演奏を聴いた南の脳裏に彼と一緒に暮らした日々が駆け巡る。後日予選を突破した瀬名は南に最優秀になったらボストンに行くことを告げ、彼女からは杉崎からプロポーズされたことを告げてお互いにショックを受ける。

本当に愛していたのは瀬名だと気づいた南はその夜彼と一つになり、翌日杉崎に謝罪して結婚できなくなったことを伝え事務所を去っていく。後日再び南は瀬名の部屋に訪れるが、会話の流れで口喧嘩になり「勝手にボストンに行けば？」と言ってしまい、彼女は写真家として働くことを考え始める。ピアニストとしての将来と南との関係に決着すべく本選に臨むことにした瀬名は、彼女に「長い休みはもう終わりだから」と告げて本選のチケットを渡す。