花嫁のれん

〜東京の旅行代理店で働くアラフォーの奈緒子は3年前、金沢の老舗旅館・かぐらやの長男の宗佑と東京で結婚。しかし、宗佑の母親でかぐらやの大女将・志乃からは嫁として認めてもらえず、宗佑も勘当されていたが…〜

〜かぐらやで年に一度開かれる大々的なお茶会の席で、奈緒子は志乃と3年ぶりに再会。志乃に金沢にきた理由を問われた奈緒子は、宗佑の失踪と借金のことを打ち明け、行方に心当たりはないか聞くのだが…。〜

〜旅行代理店が突然倒産し、奈緒子の借金返済計画は大きく狂ってしまう。住んでいたマンションまで差し押さえられた奈緒子は実家に戻る。そんななか、奈緒子の母・美也子から連絡を受けた志乃が東京にやってくる。〜

〜奈緒子は自分を仲居としてかぐらやで雇ってほしいと志乃に訴える。志乃はその話を即座に断るが、奈緒子は大きな荷物を持って金沢にやってきてしまう。旅館で働きたい奈緒子と志乃の話は平行線をたどるばかりで…。〜

〜町で志乃に無視された奈緒子だったが、志乃は願いが叶うという金沢の言い伝え“七つ橋渡り”の最中だった。志乃の母としての想いに気づいた奈緒子はかぐらやを訪ねると、志乃に宗佑から昨日電話があったと嘘をつく。〜

〜奈緒子はかぐらやで仲居として働きながら、失踪した夫の借金を返し、帰りを待つことを許される。奈緒子の出現に若女将・瑠璃子の立場が危うくなると、ずっと世話をしてきた仲居頭の照子は奈緒子を邪魔者扱いする。〜

〜奈緒子を心配し、母親の美也子が金沢にやってくる。表面上はにこやかに会話を交わす志乃と美也子だが、言葉の端々にはとげが。それでも志乃は奈緒子に、美也子を金沢観光に連れて行くよう、おもてなしの心を見せる。中〜

〜奈緒子が引き起こした大失態により、かぐらやでの商工会議所の会食の話は白紙となる。仲居として順調に仕事をこなしてきた奈緒子だったが、自分のしたことの重大さを痛感する。奈緒子は村田に詫びにいくが…。〜

〜奈緒子はお客さまから「女将の素質がある」と褒められる。瑠璃子に女将になってほしい照子は存在感を増す奈緒子に焦りを感じる。瑠璃子も奈緒子と2人きりになった時、女将になりたくないのかと聞いてしまう。〜

〜秋になると毎年、かぐらやを訪れる客の森岡に対し、瑠璃子は指定した部屋を間違えるというミスをしてしまう。瑠璃子の名誉を挽回しようと、伸也と照子は森岡に過剰な接待をするが、逆に森岡を怒らせてしまう。〜

〜志乃が奈緒子の働きぶりを見て「女将の素質あり」と言ったのを聞いて以来、瑠璃子は奈緒子を避けるようになる。数日後、かぐらやをひいきにする華道の家元・村田が開いたお茶会に、奈緒子は志乃と出席することに。〜

〜奈緒子は体調を崩した瑠璃子を見舞うが、連日会えないままだった。ここにきて奈緒子は、自分が瑠璃子に避けられていることにようやく気づく。奈緒子は志乃が自分に女将の素質があると発言していたことを知り…。〜

〜奈緒子たちは姿を消した宿泊客の森本の息子・大輝を雨が降るしきる中、必死に捜すが、なかなか見つからない。やがて大輝は意外なところから見つかるが、あまりにも心配だった奈緒子はつい大輝の頬を叩いてしまう。〜

〜志乃が「良き思い出は心の宝…」と客をもてなす姿を見て以来、奈緒子は志乃の大女将としての一挙一動が気になるように。伸也と照子は奈緒子がかぐらやを乗っ取るつもりではと焦り、瑠璃子のお見合いを急ぐ。〜

〜瑠璃子の見合い相手・丈太郎は何事も金銭に換算しようとする、まさに大阪の商売人。瑠璃子はきっぱり断ると宣言するが、丈太郎がバックにつけば宿泊客が増えるだけに、伸也は瑠璃子に考え直してほしいと頼む。〜

〜丈太郎との見合い話を断った瑠璃子だが、「旅館の未来のためにも考え直してほしい」と父親の伸也は食い下がる。困った瑠璃子は奈緒子に相談し、良樹が自分のことをどう思っているのか確かめてほしいと奈緒子に頼む。〜

〜能登・七尾市に向かう奈緒子の横には、亡き姉の花嫁のれんを探したいという良樹もいた。奈緒子は土産屋の亭主に頼まれた醤油屋を訪ねる。店主の昭三は聞きしに勝る頑固者で、奈緒子は追い返されてしまう。〜

〜何度断られてもめげない奈緒子と、一度決めたら絶対に曲げない昭三の頑固対決が続く。そんななか、奈緒子は醤油屋の隣人から俊秋の亡き婚約者のことを聞く。一方、良樹と俊秋は亡き姉の花嫁のれんを探していたが…。〜

〜頑固者の昭三から醤油を置く許可を得た奈緒子を土産物屋の店主は評価し、「このまま正社員にならないか」と言ってくる。さらに老舗旅館・菊亭の女将も、優秀な奈緒子を仲居としてスカウトにくる。〜

〜丈太郎の母親・節子が嫁いびりのようなわがままを言って瑠璃子を困らせる。瑠璃子の器量を見ようとしての発言なのは明らかだった。一方ぎっくり腰で休んでいる志乃は、瑠璃子の思うようにやらせようと静観する。〜

〜女将の仕事に惹かれている自分に気づいた奈緒子は、ついに女将になりたいと決意する。志乃は従業員の前で奈緒子が女将修行を始めたことを報告。何としても瑠璃子に女将になってほしい照子は面白くない。〜

〜奈緒子から女将修行を始めたことを聞かされた丈太郎は、瑠璃子の夢をなぜ邪魔するのかと志乃に詰め寄り、志乃の真意を探ろうとする。そんななか、奈緒子の父・浩が娘を心配してかぐらやにやってくる。〜

〜ある深夜、奈緒子は客室の扉にもたれかかるように座り込んでいる志乃を見つける。志乃が倒れたのではないかと奈緒子は駆け寄ると、志乃はお客さまの咳の様子を聞いているという。奈緒子は志乃に一晩付き合うが…。〜

〜かぐらやに丈太郎と母親の節子が再びやってくる。節子は丈太郎の婿入り先として瑠璃子が次の女将でなければ困ると、志乃に抗議する。そして、奈緒子にはこれまでの経歴を無駄にしない就職口を紹介しようとする。〜

〜丈太郎が企画したツアーの客が大阪からかぐらやにやってくる。パンフレットに書かれていることだと、ツアー客たちは好き勝手な要求をする。そんななか、非常識な客が市場で買ってきた魚を調理するように頼んでくる。〜

〜ツアー客の金原が財布を旅館内で紛失。その上、金原は仲居を疑い、泥棒扱いする。もともとツアー客に大女将の志乃が応対しないことに腹を立てていた金原と白銀の怒りはヒートアップ。瑠璃子も仲居を疑ってしまい…。〜

〜大阪のツアー客が次々に口にしたとんでもない要求を乗り越えたことで、かぐらやの面々の絆は一層強くなった。一方、瑠璃子が良樹に想いを寄せていることがわかり、志乃は丈太郎との見合いを進めるべきか思い悩む。〜

〜「あなたあってのかぐらや」と、みんなの前で志乃が奈緒子に声をかけたことで、かぐらやの面々は次の女将は奈緒子に決定かと大騒ぎに。一方、奈緒子の中では志乃が認知症ではないかという思いが大きくなっていた。〜

〜病院で診察した志乃は、認知症の疑いありと言われ、ショックを隠しきれない。家族や従業員は、志乃にどう接していいかわからず困惑する。そんななか、志乃は奈緒子と瑠璃子に、かぐらやを背負う覚悟を説く。〜

〜瑠璃子はかぐらやのために丈太郎との結婚を決意する。しかし、良樹を好きな気持ちを必死で抑えようとする瑠璃子を奈緒子も見ていられなかった。結局、奈緒子のいつものお節介で、瑠璃子と良樹が会うことに。〜

〜突然現れた宗佑を奈緒子はシェアハウスに連れていく。志乃に会って、借金返済のお礼を言ってほしいという奈緒子の言葉にうなずく宗佑だが…。一方、良樹と会って心が揺れている瑠璃子は仕事で失敗を連発する。〜

〜宗佑に勘当を言いわたした志乃だが、今までのように息子を甘やかしてはいけない、という自分への戒めからだった。そんな志乃の思いを知らない宗佑は、かぐらやに自分の居場所はないと感じていた。〜

〜金沢に戻った宗佑は志乃と辰夫にこれまでの親不孝をわび、かぐらやで働かせてほしいと頼む。意外にも志乃は息子の申し出を受け入れ、宗佑は客室係として働き始める。一方、瑠璃子は外出中に良樹と出くわし…。〜

〜旅館の仕事にやりがいを見いだし、積極的に働くようになった宗佑の姿に喜ぶ奈緒子。志乃はかぐらやでの仕事は借金を返すまでの腰掛けなのか、一生の仕事とするつもりがあるのか、と宗佑に尋ねる。〜

〜宗佑が旅館を継ぎたいと言ったことで、瑠璃子は良樹と人生を歩むことを決め、かぐらやを出ることを志乃らに打ち明ける。瑠璃子の思いを志乃は受け止めるが、伸也は大反対。伸也と瑠璃子は口論になってしまう。〜

〜女将になることを亡き母・深雪と約束したのではないかと伸也に問われ、瑠璃子は深雪が亡くなる前日、深雪に「かぐらやに縛られることなく、自由に生きなさい」と告げられていたことを打ち明ける。〜

〜奈緒子は女将襲名が決まったことを母の美也子に報告。娘が姑に認められ嬉しい反面、奈緒子が金沢から東京に帰ってこなくなると思うと美也子も複雑な心境に。そんななか、かぐらやに宗佑の親友・藤堂が現れる。〜

〜宗佑は友人・藤堂から新事業の立ち上げに誘われるが、女将襲名が決まった奈緒子のことを思い、その話を断る。しかし、奈緒子は宗佑がもう一度、自分を試したいと思っていることが痛いほどわかっていた。〜

〜宗佑は自分の本心を志乃に正直にぶつける。奈緒子が女将を継ぐことは金沢中に知れ渡っており、今の段階での取り止めはもはや神楽家だけの問題ではなかった。志乃は怒りに任せ、宗佑に1人で東京に行くよう命じる。〜

〜奈緒子と宗佑が東京に旅立った日の午後、辰夫が脳出血で倒れ、病院に運ばれる。意識が薄れるなか、「宗佑には知らせるな」と言った辰夫の言葉を守り、志乃は気丈に辰夫の容体を見守っていたが…。〜

〜志乃はこれまで支えてもらってきた辰夫とこれからは夫婦としての時間を大切に生きていきたいと思っていた。かぐらやを手放す決心を固めた志乃は、金沢の名士・村田に旅館の譲渡先を探してほしいと頼む。〜

〜奈緒子は自分が女将になることを決心し、辰夫の病室に志乃を訪ねる。奈緒子は、みんなで造り上げた治部煮を差し出し、これからもかぐらやを続けたいと訴える。奈緒子の真摯な姿に、辰夫は答えを志乃に委ねる。〜