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デカ劇レギュラー放送

  • 刑事貴族3

    刑事貴族3
    あらすじ

    東京・新宿の警視庁代官署を舞台に、「貴族」のようにタキシードやベストなどファッショナブルな服に身を包んだ本城慎太郎(水谷豊)が、コミカルさを織り交ぜながら若手刑事らを率いて大都市に蔓延る犯罪に敢然と立ち向かっていく。

    キャスト

    水谷豊、田中実、寺脇康文、鳥越マリ、地井武男、松方弘樹 ほか

    制作年

    1992年初放送

    話数

    全26話

    (c)東宝

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『私鉄沿線97分署』『刑事貴族』に見る、90年代型刑事ドラマの傾向とは? 〜後編〜

  • 前編はこちらから
    ・90年代主流 トレンディドラマとは
    ・高度経済成長の終焉からバブル経済へ
    ・「私鉄沿線97分署」「刑事貴族」に見る”90年代的世相”

    '70年代的刑事ドラマの美学は“青春の挫折”

     『太陽にほえろ!』(1972〜1986年)を生んだ名プロデューサー・岡田晋吉氏は同作が生まれた1970年代前半を“挫折の美学の時代だった”と振り返る。安保闘争に端を発する戦後最大の学生運動・紛争の数々が事実上敗北に終わり、それに呼応するかのように高度経済成長も終焉。その代償として噴出した公害問題やオイルショック等々で“いよいよ日本沈没か!?”と真しやかに叫ばれていた時代、“負けたっていいじゃないか。負けることは決してカッコ悪いことじゃないし、勝つことだけがすべてじゃない。勝っても負けても一所懸命やることが大切なんだ”という精神が当時の若者たちの間の美学として貫かれていたという。『太陽〜』を卒業したショーケンこと萩原健一が主演した『傷だらけの天使』(74年)などはまさにその結晶ともいうべき作品で、男手ひとつでひとり息子の健太(演・正満卓也)を育てるために素人探偵のアルバイトをする主人公の木暮修が、毎回負け犬的惨めな姿をさらして終わる、綺麗事のないストーリーに当時の若者たちは深い感銘を憶えていた。

    “情熱・悔し涙”から“しらけ・オシャレ”の時代へ

     それがいつしかバブル経済が訪れ、生活基盤の衣・食・住がすっかり満たされ、よりハイクラスな暮らし振りを人々が夢見るようになり、“負けることは悪、一所懸命やることは愚か”という空気が漂い始める。そんな時代に誕生した刑事ドラマは、犯罪やそれに対する登場人物の心情や苦悩を深く掘り下げることより、刑事のキャラクターや日常、それに凶悪さや現実離れのないリアルな犯罪を、ヘビーで深刻にならずにライトタッチで描くことに重点が置かれるようになった。先述の『私鉄沿線97分署』がバブル経済開始の1986年に終わり、『刑事貴族』がバブル経済崩壊の1992年に終了した事実を考えるとなんとも感慨深い。

    トレンディドラマとしての刑事ドラマ

     つまり“刑事”の部分より“トレンディ”、時代の趨勢や潮流、流行を追っていたのが1990年代に放送された刑事ドラマの傾向といえる。一見オーソドックスな刑事ドラマに見える『はぐれ刑事 純情派』シリーズも、'90年代後半〜2000年代前半を代表する『踊る大捜査線』シリーズも、実は刑事や描かれる事件・犯罪よりも、そのドラマを生み、放送していた時代そのものを描く“トレンディドラマのひとつ”に過ぎなかったのである。

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捜査報告〜テキサス&ボン編(第168〜216話)〜

  • 西部警察 HDリマスター版

     かつて刑事(デカ)といえば、四畳半のボロアパートにひとり、もしくは兄弟(妹)で暮らし、着たきり雀の汚れたYシャツにヨレヨレのスーツかトレンチコート。冴えないベレー帽を被り、靴を何足も履き潰して野犬のように犯人(ホシ)を追い求める……というイメージだった。
     ところが1980年代に入り、世の中がバブル期に入ると、刑事の世界にもそれが波及。『西部警察』(1979年)の大門圭介団長(渡哲也)は、妹・明子(古手川祐子)との二人暮らしこそ『大都会』シリーズの黒岩頼介(渡哲也)と変わらないものの、その住む部屋はロフトのあるオシャレなマンションに様変わり。『探偵物語』(1979年)の工藤ちゃん(松田優作)は、デカではなく探偵なれど、若者たちのファッションリーダーに。そして極めつけは『あぶデカ』こと『あぶない刑事(デカ)』(1986年)で、タカこと鷹山敏樹(舘ひろし)とユージこと大下勇次(柴田恭兵)を始め、神奈川県港警察署の面々はいずれもファッショナブルでダンディ、またはオシャレなイメージを漂わせ、クール且つある種の“ゆとり”をもって犯人を追い詰めていく。乗る車も(ある程度は企業タイアップとはいえ)日産レパードやアルティマターボ、アルファ・ロメオ164SUPER24V、マセラティギブリE-MG等々これまたオシャレな国産及び外車を駆使し、犯人と華麗なるカーチェイスや銃撃戦を展開する。
     ここにきて『七人の刑事』(1961〜1969年)や『特別機動捜査隊』(1961〜1977年)等々に見られる、“刑事は3Kな職業”というイメージは完全に払拭された。
     その極めつけとして登場したのが、タイトルにそのものズバリ!“貴族”と冠されている『刑事貴族』(1990年)だ。
     東京・新宿にある架空の警察署・代官署(代官山がイメージ?)を舞台に、コーヒーとタバコをこよなく愛し、愛車のフォード・マスタングでスマートに悪を追う刑事課のエース・牧俊介の孤高の捜査を描いて人気を博した。集団群像劇が刑事ドラマの主流になっていた時代に、ある種、スタンドプレイでスーパーヒーロー並みの活躍を見せる刑事は珍しく、それがバブリーな時代背景とマッチしてタイトル通り“貴族”にふさわしい1990年代の刑事像を構築していた。牧俊介殉職後は、郷ひろみ演じる風間明、水谷豊演じる本城慎太郎(こちらは続編の『刑事貴族2』[1993年]からの登場)が、それぞれ牧のポジションを引き継ぎ、やはり“貴族”にふさわしい活躍ぶりを見せていた。
     さて、それでは刑事ドラマ史上、最も貴族な、つまりバブリーな刑事は一体誰なのか?
     ファミ劇が独断と偏見で選んだ、刑事のお金持ちランキングベスト3をご紹介しよう(但し今回は日本製の刑事ドラマに限ります)。
     なんといっても第1位は富豪刑事こと神戸美和子(深田恭子)だろう(『富豪刑事』(2005年)、『富豪刑事デラックス』(2006年)の主人公)。焼畑署捜査課の新人刑事ながら一代で巨万の富を築いた世紀の大富豪・神戸喜久右衛門(夏八木勳)の孫娘で、口グセは「たった○億円ぽっちのために人を殺すなんて……」。捜査のためだけに企業したり企業買収を行ったりした挙げ句(もちろん社長は美和子本人)、立派に業績を上げ、神戸財閥をさらに大きくしてしまうことも度々。あまつさえ、その1社がNASAから業務提携を持ちかけられたこともあり、もう間違いなく映像世界での歴代刑事ドラマ史上類を見ない、最高にお金持ちの刑事だろう。またその天然キャラたる美和子を、天然女優のフカキョンが演じることで、妙なリアリティを醸し出していた。
     第2位は、さすがに財力の面で美和子とは大分開きがあるとは思うが、翔んでる警視こと、岩崎白昼夢(いわさき・さだむ)。胡桃沢耕史の同名小説をTVドラマ化した『翔んでる警視』(1986年)の主人公で、警視庁捜査一課に配属された若き東大出のキャリア。国家公務員上級職試験三番合格のエリート中のエリートで、配属されるなり警視の地位が約束されている。頭脳明晰、語学堪能、スポーツ万能、当然の如く女性にもモテモテで、いいとこのおぼっちゃん……と、美和子ほどではないにせよやはりちょっとあり得ない設定。そんな彼を演じたのは『刑事貴族』でもおなじみ、郷ひろみ! 彼の豪快且つ爽やかな笑い声の前にはどんな難事件も凶悪犯人もたちどころに吹っ飛んでしまうのだった……!
     そして第3位。ここからは同列3位が数多く並ぶことになると思うが、高級スーツの中はピンクのYシャツ、愛車ガゼールを華麗に乗り回し、携帯電話のない時代に車輌電話で大門に指令を下す! そう、我らが石原裕次郎演じる『西部警察』の木暮謙三課長、その人だ。
     彼の詳しい出自は劇中では語られなかったものの、単に“エリート(キャリア)”というだけではあのような生活ぶりはできないだろう。1970〜1980年代の刑事ドラマのボスキャラには何故かこのようなイメージが強く、同じ裕次郎演じる『太陽にほえろ!』(1972〜1986年)のボスこと藤堂俊介もそんな雰囲気だし、『警視庁殺人課』(1981年)の五代尭(菅原文太)もニューヨーク市警を経て、警視庁新設の殺人課にチーフとして招かれたエリート中のエリート。愛車はポルシェ・356でニックネームは“ミスター”……とくれば、これはもうエンゲル係数が低いことに疑いの余地がない。
     個人にスポットを当てた場合、大体上記のようなランキングになることと思うが、例えば西部警察署や、特命部隊=マッドポリス(『大激闘 マッドポリス’80』[1980年])、警視庁捜査第8班(『ゴリラ 警視庁捜査第8班』[1989年])など、組織自体の経済力、資金力も含めた場合はまたランキングが変わってくるだろう。さらに『ロボット刑事』(1973年)や『宇宙刑事ギャバン』(1982年)などのSF・特撮作品なども含めた場合、今度は見当もつかなくなってくるだろう。『ギャバン』に登場する銀河連邦警察などは、地球に派遣した1刑事につき、宇宙船母艦1隻、攻撃用変形巨大ロボット1機、空中戦車、地底戦車(タンク)、専用次元オートバイ各1台、それに生活費他全面支給……で、その財力たるや想像を絶する。
     ……といったことなども自由に妄想しつつ、『刑事貴族』シリーズをお楽しみ頂ければ幸いです。

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